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今日のテーマ"リスペクト"


僕の心の根底を流れる"リスペクト"という言葉について考えを述べたい。
僕は常に自分以外の存在に対して"リスペクト"をしていきたいと思っている。
これは心がけではなく、なんというか生きる上での基盤だ。


先輩を敬う。
これは分かりやすい。
先輩は自分より経験が長く、仰ることに一理有ることが多い。

では、後輩を敬うべきか?
この答えもイエスだ。
体育会の部活だと、「3年生は神様」という表現もあるが、個人的にはおかしいと思う。
僕はサッカーが好きだが、高校1年生で先輩を押しのけてレギュラーになる人もいる。

当然、各人が時間をかけている分野は異なる。
ある人はバンドが好きだし、テニスが好きで一日中やっているかもしれない。
別の人は絵を書くのが好きで、あるいは天体観測が好きかもしれない。
特定の分野での知見やスキルの深さは、年齢に関わらず各個人に帰属する。

体得した知識や成果も含めて"経験"だと定義すると、次の方程式が成り立つ。



"経験" = '時間' × '密度'




'時間'は誰にでも等しく24時間ある。
然し、同じ時間でも活用方法は様々だ。
睡眠学習という言葉がある。
毎日6時間寝るとすると、一週間で42時間ある。
この寝ている間に学習することができたとしたら、毎日10時間のトレーニングをさらに6時間増やすことが可能だ。
プロアスリートでも意識的に活用している人がたくさんいるだろう。

振り返ってみると、僕も学生時代は睡眠学習を活用していた。
僕はコツコツと勉強をするタイプで、テスト前には徹夜は絶対にしなかった。
高校2年間で3年分のカリキュラムを終わらせる学校だったので、テスト範囲は結構多かった。
当然前日にはテスト勉強をするのだが、短くても、必ず睡眠時間を取った。
寝ている間に、学習内容が整理されるのを体験的にわかっていたからだった。

'時間'の使い方によって"経験"を加速できる。



"経験"を構成するもう一つの要素である'密度'について述べよう。
才能も大きな要素かもしれないが、それは'密度'に集約できる。
従って、同じ時間をかけていても'密度'を高めると成果として"経験"を積むことができる。

集中力が高いと同一人物でも同じ作業量で成果に差が出る。
僕の高校の時の友人で野球ばかりやっているのに成績がいつも抜群に良い人がいた。
彼にある時、僕は聞いた。

「野球ばかりやっていていつ勉強してるの?」

彼はこう答えた。

「授業中に復習しているんだよ。」

これは僕には衝撃的な内容だった。
意味がわからない(笑)

もう少し噛み砕くと、彼は「授業を聞きながら、同じ内容を同時平行的に頭の中で再生している」ということだった。
ちなみに、なるほどそういう発想もあるのかと思って僕もチャレンジしてみた。
すると、なんと出来た!
ただ、授業を聞くことに比べて2倍の時間を過ごしている感覚を得た。
ただ、あまりに頭が疲れるので1日で止めた。

世の中にはとんでもない奴がいるものだ。

'密度'を変化させることで"経験"を加速させることができる。


もう一度方程式を振り返ろう。



"経験" = '時間' × '密度'



こうやって考えると、"経験"の深さは人によって異なり、全くもって年齢の多寡に関わらないことが良く分かる。



ここで、少し角度を変えて考えてみる。
僕は感性も人それぞれで素晴らしいと思っている。

学生時代に、ベルギーの鉄道で出会った老人と西洋絵画の話で盛り上がったことがある。
僕はルネッサンスの時代から始まり、ロマン派・印象派・点描派等の絵画に興味があり、その老人と盛り上がった。
彼は、「若い頃の感性も素晴らしいが、年を重ねるとその感覚が不思議と研ぎ澄まされるのだ」と言っていた。
メディチ家を始めとする多くの資産家が若い画家を支援したのもそういう理由があるのかもしれない。



一方で、子供の感性も素晴らしいと思っている。
例えば、子供が初めて海を見たときに「あれが海だよ。」と僕が教えると、「うみーっ!」と感動していた。
海を見慣れた僕にはこの感動は得られない。
純粋に感動することを羨ましくも思った。




今回は、”リスペクト”を考える上で、"経験""感性"に絞って思考を深めてみた。
初めての出会いや、旧知の間柄でもその人の新たな一面に出会い、リスペクトする度に人生は楽しいと思える。




それでは、Good Luck!









P.S.
何故英語の"リスペクト=respect"という単語を使ったのかについて記したい。

僕は母国語は日本語だが、小さい頃から英語が身近だったためか言語について度々深く考えてきた。
同じ意味を持つ言葉でも言語によってニュアンスは異なると思っている。

日本語では「尊敬する」という言葉が該当する。
尊敬は「尊ぶ」「敬う」という言葉から成り立っているが、下から上を見上げるニュアンスを感じるので実はあまり好きではない言葉だ。

リスペクトを辞書で引いてみよう。

・・・〈人・人の性質などを〉尊敬する 《★【類語】 respect は価値あるものに対しそれにふさわしい敬意を払う; esteem は価値あるものに対して好意の気持ちを含めた敬意を払う; admire は esteem よりさらに強い心からの愛情を抱いていることを暗示する》.  by Weblio辞書

僕が感じるリスペクトという言葉は「対等の立場で敬意を払う」という意味を持っていると思っている。
もう少し噛み砕くと「上下関係や年齢の多寡というバイアスを外し、相手に対して純粋に敬意を払う」という行為なのだ。
「尊敬する」より「リスペクトする」方がよりピュアだと思う。
このように、改めて考えると言葉は奥が深い。